あの頃に旅に出る

(間奏)

あの頃に戻りたいそう願っていた少年の目を

俺はいつの間にか忘れていたんだ20歳になってから

ここから始まる異世界生活の様に

俺にできる事を精一杯探した探して探し回った

結果は散々な目にあったけど…やり甲斐はあった

けどそれに満足する優しさは俺の首を絞める

もうすぐ飛び降りそうなくらいに

だけどふと後ろ振り返れば見えた

あの愛おしかった風景が…声色が…君の瞳が…

いつの間にかこんな事を辞め新しい旅に出てた

欲しかったものが違っただけ

満足できてたのが腹立たしく思えた

本当の質を間違えて歩み寄っていた

モラルとか何だとか古い毒に毒されてた

大人になるに吊れ自由とは何かを見失う

もういいと投げ出すことも出来なくなる

それの最終地点は自分との対面

向こうの自分は俺を殺そうと必死になる

足掻き狂う俺に躊躇などはなかった

その腑を引きずり出し喉を掻っ切り

お前の頭蓋骨を粉々にしてやる…て

そんな夢を一度だけ見たんだ

それが俺が小5の時にトラックに轢かれた時

その時に俺を殺そうとしていた自分が現れたんだ

けど…けど…もうじき死ぬ寸前に声がした

それは四年前に聞いたことがあり馴染みの声

光が包むと手から消滅していく自分を呆然と見る

俺はどうやら生かしてくれたらしい

あの夏の獣は俺を乗せ現世へと舞い降りた

それと同時に目が覚めた時にふと思った

あれは夢なのか?それとも…別の何か…

いや…そんな事はないと頭を抱えた時

ここは病棟だった…あれは…夢ではなかった

どうしてだ…と嘆いた

あの時俺を生かした夏の獣

お前はどこにいるんだ?

なぜお前は存在しないんだ…

俺だけを残して逝くなんて…

どうしてなんだい?誰にも会いたくない

触れたくないただ怖さを隠しきれなかった

光る温もりがこの手この身体から離れない

頭蓋骨骨折の傷が残る

これはなんの意味があるんだい?

お前は何を伝えたかったんだい?

きっとそう…意味なんて無かったんだ

妄想…激しくなってしまっていたんだ

こんな夜な夜な歩く街に答えなど無かった

歩くだけ無駄な時間を費やす

だけど確実に前よりか違う自分になれた

あの頃に戻る様な感覚を何度もリピートする

そこにはヒントがある

お前から授かった力は…そう…

「人に優しくなれる心、貴方に捧げた力はどんな困難も痛みも抱えても大丈夫になれる身体にしました」っと

そう夏の獣の鳴き声を解読したら…

もうリピート出来なくなった

これでもうお前とはさよなら

さよならの先に強さを手に入れた

それから時は経ち日々成長していく自分

いつの間にか俺に歯を向ける事は無くなった

むしろその力で互いに体協しあう仲になった

その力で願った…あの頃に旅に出るって

 

そう言った瞬間涙はポロポロと落ちていく

もう1人の自分よ最期まで守ってくれてありがとう

光の中を歩いていく闇が光を守る闇となってた

この理屈なんかで語れない非現実的な力はどこから来てるのか

紛れもなくあの夏の獣の残した残骸であった

 

それからまた時は遡りあの頃の続きの場面

本当の意味を知ることとなった